本記事では、歯科衛生士がクリーニングで痛みを感じる3つの主な原因と、痛みを抑える5つの対策を解説。我慢せずにケアを受ける方法がわかります。
「歯のクリーニング、そろそろ行かなきゃな…」と思いつつ、「キーン」と響く音やガリガリして痛かったのを思い出して、予約の電話をためらっていませんか?
あの独特の機械音や振動を想像するだけで、つい足が遠のいてしまいますよね。
しかし、なぜクリーニングで痛みを感じるのか、その原因を正しく知り、対策をとれば我慢をせずにケアを受けることが可能です。
この記事では、歯のクリーニングで感じる痛みの原因から対策まで解説します。
なぜ痛い?歯のクリーニングで痛みを感じる3つの原因

そもそも、なぜクリーニングで痛みを感じる人と、まったく平気な人がいるのでしょうか。その違いは、生まれつきの体質などではなく、実はお口の中の「今の状態」にあります。
これからご紹介する3つの原因のうち、ご自身に当てはまるものがないかチェックしてみてくださいね。
原因①:歯石が硬く、たくさんこびりついている
歯石というのは、日々の歯磨きで落としきれなかった歯垢(プラーク)が、唾液に含まれるミネラル成分と結びついて石のように硬くなったものです。一度ついてしまうと、歯ブラシでは決して取れません。
このカチカチに固まった歯石を剥がすために使われるのが、超音波スケーラーという機械です。
細かい振動で歯石を砕いていくのですが、歯石が分厚く、広範囲にわたって付いているほど、機械のパワーを上げる必要があり、その振動が歯や骨に響いて痛いと感じやすくなります。
特に下の前歯の裏側などは歯石がつきやすく、久しぶりにクリーニングを受ける方ほど痛みを感じやすい傾向があります。
原因②:歯ぐきが赤く腫れている
歯ぐきが赤く腫れている「歯肉炎」の状態も、痛みを引き起こす原因となります。
歯肉炎は、歯と歯ぐきの境目に残った歯垢の中の細菌が原因で、歯ぐきが炎症を起こしている状態です。健康な引き締まった歯ぐきであれば何でもないような器具の接触も、炎症でブヨブヨになった歯ぐきにとっては大きな刺激になります。
歯磨きの時に血が出やすい方は、この歯肉炎になっている可能性が高いかもしれません。
原因③:冷たいものがしみる
もともと知覚過敏の自覚がある方は、クリーニングで痛みを感じやすいです。
歯は外側を「エナメル質」という硬い組織で覆われていて、内部の神経を守っています。しかし、歯周病で歯ぐきが下がってしまったり、歯ぎしりや食いしばり、強すぎる歯磨きでエナメル質が削れたりすると、その内側にある「象牙質」という部分が剥き出しになってしまうことがあります。
この象牙質には、神経につながる無数の細い管が通っているため、クリーニングで使う機械の振動や冷たい水が直接触れると、その刺激が神経に伝わり、「キーン!」と響くような鋭い痛みを引き起こすのです。
もう我慢しない!クリーニング時の痛みを抑えるための5つの対策

痛みを我慢しながらクリーニングを受ける必要は全くありません。これからご紹介する「歯科医院でできる対策」と「自分でできる対策」を知っておけば、クリーニングへの不安を減らすことができます。
①痛みに配慮したクリーニング方法を選ぶ
まずは、自分に合った方法がないか相談してみましょう。最近の歯科医院では、患者さんの負担を減らすため、痛みに配慮したさまざまなクリーニング方法が用意されています。
たとえば、エアフローを行っている歯科医院もあります。これは、水と細かいパウダーを高圧で歯に吹き付け、着色汚れやバイオフィルムを吹き飛ばす方法です。歯を傷つけにくく痛みも少ないのがメリット。
また、歯石を取る機械の振動が苦手な方は多いですが、実はパワー調整可能です。痛いと感じたら、出力を弱めてもらうだけで、響く感じがかなりやわらぎます。
②表面麻酔をためらわずに相談する
これは歯ぐきの表面に直接塗る、ジェル状やスプレー状の麻酔薬です。「麻酔」と聞くと、あのチクッとする注射を想像して身構えてしまうかもしれませんが、表面麻酔は全く別物になります。
クリーニングを始める数分前に、痛みを感じやすい部分の歯ぐきにコットンなどで薬液を塗るだけ。じわじわと歯ぐきの感覚が麻痺してきて、器具が当たっても痛みを感じにくくなります。
注射ではないので痛みもなく、特に痛みが出やすい一部分だけでも使えます。ただし、歯科医院によっては取り扱っていないところもあるため、注意が必要です。
③予約時・問診時に「痛みが不安」と正直に伝える
歯科医師や歯科衛生士は、患者さんがリラックスして治療を受けられることを望んでいます。事前に「痛みが怖い」と伝えてもらえれば、より丁寧に、こまめに声かけをしながら進めるなど、さまざまな配慮ができます。
ただ漠然と「痛いのは嫌です」と伝えるよりも、「下の前歯の裏側が痛みを感じやすいんです」といったように伝えましょう。より的確な対応が期待できます。
④歯石と歯肉炎を予防する
歯科医院での対策と合わせて、クリーニングの痛みを根本から減らすには、自宅でのセルフケアも重要です。
そもそも痛みの原因である「歯石」や「歯肉炎」がなければ、クリーニングはほとんど痛みを伴いません。
歯石は歯垢が固まったもの、歯肉炎は歯垢の中の細菌が原因。つまり、毎日の歯磨きで歯垢をしっかり取り除くことができれば、痛みの原因を元から断つことができます。
⑤知覚過敏用の歯磨き粉を使ってみる
「キーン」としみる知覚過敏が痛みの原因だと感じている方は、知覚過敏用の歯磨き粉を使ってみることをおすすめします。
知覚過敏用の歯磨き粉には、硝酸カリウムといった薬用成分が含まれており、神経への刺激の伝達をブロックして、しみるのを防いでくれます。ドラッグストアでよく見かける「シュミテクト」などが有名です。
これらの歯磨き粉は即効性があるわけではありませんが、クリーニングの予約をする2〜3週間前から毎日使い続けると、症状が緩和され、施術当日の痛みも感じにくくなることが期待できます。
もしクリーニングの途中で痛くなったら?合図をすれば大丈夫

さまざまな対策をしても、いざ施術が始まると「やっぱり痛いかも…」と不安になる瞬間があるかもしれません。そんな時、絶対に痛みを我慢しないでください。
痛みを我慢すると、無意識に体に力が入ってしまい、かえって刺激に敏感になることがあります。また、不快な思いは次回の通院へのためらいにもつながりかねません。
歯科衛生士は患者さんの表情や少しの体の動きにも注意を払っていますが、お口の中の繊細な感覚までは、残念ながら術者には直接伝わらないです。「痛かったら教えてくださいね」という言葉は、決して社交辞令ではありません。
お口を開けたままで声を出すのが難しければ、事前に決めておいた通り「左手をそっと挙げる」だけで大丈夫です。
その合図があれば、施術者はすぐに機械を止めて少し休憩を挟んだり、麻酔を追加したり、機械のパワーを調整したりと、柔軟に対応してくれるはずです。
まとめ
痛みの主な原因は「歯石」「歯肉炎」「知覚過敏」であり、それらに対しては歯科医院でできること、ご自身でできることの両方からアプローチが可能です。
クリーニング時の痛みが心配な方は、予約時や問診時に「痛みが不安だ」と正直に伝えましょう。施術中も、少しでも痛みを感じたら我慢せず、手を挙げるなどして合図すると、柔軟に対応してくれます。
痛みの原因である歯石や歯肉炎を放置しないためにも、3ヶ月~半年に1回の定期的なクリーニングが、結果として痛みを感じにくくなります。
歯科医師・歯科衛生士と相談しながら、ご自身に合った方法でクリーニングを受けていきましょう。












