本記事では、産後の歯科治療はいつから可能か、授乳中の麻酔・レントゲン・薬の安全性、赤ちゃん連れで受診する際のポイントを解説します。
「産後すぐだけど、歯医者に行っても大丈夫?」
「授乳中に麻酔や痛み止めを使っても、赤ちゃんに影響はない?」
「赤ちゃんを預けられないけれど、一緒に連れて行ってもいいのかな?」
産後のお口のトラブルに気づいても、このように受診を迷ってしまうお母さんは少なくありません。
結論からお伝えすると、産後の歯科治療は産後1ヶ月健診を終えた頃が一つの目安となります。体調さえ安定していれば受診は可能ですし、授乳中でも麻酔や薬を正しく選べば赤ちゃんへの影響を心配する必要はありません。
本記事では、産後の歯科受診に適したタイミングと、授乳中の麻酔・レントゲン・薬の安全性、赤ちゃん連れで受診する際のポイントを解説します。
産後の歯医者はいつからでも受診は可能だが体調優先が原則

産後の歯科受診について、医学的に「この時期までは絶対に行ってはいけない」という厳密な決まりはありません。極端な話をすれば、産後数日であっても、どうしても耐えられない痛みがある場合は受診が可能です。
とはいえ、出産という大仕事を終えたばかりの体は、私たちが想像する以上に大きなダメージを受けています。交通事故で全治数ヶ月の怪我を負ったのと同じくらいの疲労困憊の状態だと言われることもあるほどです。まずは、ご自身の体力の回復を最優先に考えましょう。
産後1ヶ月健診後が理想的なタイミング
歯科医院を予約する時期として、おすすめなのは「産後1ヶ月健診」で問題がないと診断された後です。
一般的に、産後6〜8週間は「産褥期(さんじょくき)」と呼ばれ、妊娠・出産で変化した体が元の状態に戻ろうとする大切な時期にあたります。
産後1ヶ月健診では、産婦人科の医師が子宮の戻り具合や出血の状態を確認し、「通常の生活に戻っても大丈夫ですよ」というサインを出してくれます。このタイミングなら歯科医院の診察台に横になっても負担が少ないでしょう。
痛みや腫れがある場合は我慢せずすぐ受診を
ただし、歯がズキズキ痛む、歯ぐきが腫れている、といった症状があるなら話は別です。
歯の痛みは、我慢したからといって自然に治るものではありません。むしろ、放っておくほど悪化して、最終的に大がかりな治療が必要になることも。産後すぐであっても、応急処置だけなら受けられるケースがほとんどです。
産後はむし歯や歯のトラブルが増えやすい

「妊娠中に歯がボロボロになった」「産後、急にむし歯が増えた気がする」こうした声は、実はとても多いです。これには、産後特有の理由があります。
ホルモンバランスの変化で口内環境が悪化
妊娠中から産後にかけて、女性ホルモンは大きく変動します。
女性ホルモンの分泌量が急激に変化すると、お口の中の細菌(特に歯周病菌)の活動が活発になることがわかっています。
さらに、産後は唾液の性質が変わりやすく、お口の中が「酸性」に傾きやすくなります。唾液はお口の中を中性に保ち、歯を修復する(再石灰化)役割を担っていますが、酸性に傾くと歯の表面のエナメル質が溶けやすくなり、むし歯リスクが格段に上がってしまうのです。
産後の不安定な口内環境下では、あっという間にむし歯が進行してしまうことも珍しくありません。産後もしばらくはこの状態が続くため、普段より丁寧なケアが必要になります。
育児の忙しさで歯磨きがおろそかに
産後の生活は、想像以上にめまぐるしいものです。
朝起きて授乳して、オムツを替えて、少し寝かしつけて、その隙に朝ごはんをかき込んで気づいたら歯を磨くタイミングを逃していた、なんてことは珍しくありません。夜も赤ちゃんが寝たと思ったらそのまま自分も一緒に寝落ちしてしまって、歯磨きせずに朝を迎えた経験がある方もいるのではないでしょうか。
また、育児の疲れを癒やすために、こまめに甘い飲み物を飲んだり、夜泣き対応の合間に夜食をつまんだりする機会も増えがちです。こうした食生活の乱れも、むし歯のリスクを高めます。
睡眠不足やストレスで免疫力低下
夜泣き対応で何度も起きる生活が続くと、慢性的な睡眠不足に陥ります。睡眠は本来、体の細胞を修復し免疫力を高める大切な時間ですが、不足することで全身の抵抗力が落ち、お口の中の細菌に対する防御反応も弱まってしまいます。
その結果、歯ぐきが炎症を起こしやすくなり、ちょっとしたことで腫れたり出血したりするようになります。また、ストレスを感じると唾液の分泌がさらに減るため、悪循環に陥りやすいのです。
授乳中でも歯科治療は受けられる?

歯科医院で行われる一般的な治療(むし歯治療、歯のクリーニング、定期検診など)は、授乳中でも全く問題なく受けることができます。
局所麻酔は母乳にほとんど影響しない
歯医者で使われる麻酔は、注射した場所の周辺だけに効く「局所麻酔」です。全身をめぐるような麻酔とは違い、使う量も少なく、注射した部分で大部分が分解されます。
そのため、母乳に移行する量はごくわずか。赤ちゃんに影響を与えるレベルには到底達しません。それでも心配な場合は、麻酔後4〜6時間ほど授乳を避けるという方法もあります。
レントゲン撮影は母乳に影響なし
歯科のレントゲンで使われる放射線量は非常に微量です。そもそもレントゲンは母乳の成分を変えるようなものではありませんし、撮影時には鉛入りの防護エプロンを着用するため、体への影響はさらに少なくなります。
むしろ、レントゲンを撮らないとむし歯の進行具合がわからず、適切な治療ができないこともあります。必要な検査は受けたほうが、結果的に治療期間も短く済みます。
鎮痛剤・抗生物質も授乳中対応のものを処方
痛み止めや抗生物質についても、授乳中でも使えるものが多く存在します。
たとえばアセトアミノフェンは、授乳中でも比較的安全に使える鎮痛剤です。抗生物質についても、ペニシリン系やセフェム系といった、授乳中でも安全に使用できることが確認されているものが一般的です。お薬の成分が母乳に混ざる割合は非常に低いため、通常の処方量であれば心配はいりません。
産後の歯医者受診で注意すべき3つのポイント

産後ならではの注意点があります。スムーズに受診するためのポイントを押さえておきましょう。
授乳中であることを必ず事前に伝える
予約時と診察前の問診で「授乳中であること」を明確に伝えてください。
この一言があるかないかで、使える薬や治療の進め方が変わります。伝え忘れて通常の処方をされてしまうと、後から「これ、飲んでも大丈夫だったかな…」と不安になることも。最初に伝えておけば、安心して治療を受けられます。
赤ちゃん連れOKかを事前に確認する
産後のお母さんにとって、赤ちゃんを預けて外出するのは簡単ではありません。だからこそ、赤ちゃん連れで受診できるかどうかを事前に確認しておくと安心です。
確認したいポイントは、たとえばこんなことです。
・診察室にベビーカーを入れられるか
・キッズスペースやベビーベッドがあるか
・スタッフが治療中に赤ちゃんを見てくれるサービスがあるか
・バリアフリー対応でベビーカーのまま入れるか
赤ちゃん連れを快く受け入れてくれる歯科医院なら、通院のストレスも軽減できるでしょう。
体調が悪い日は無理せず予約変更を
産後の体調は、日によって波があります。「当日キャンセルは申し訳ない」という気持ちから無理をして出かけても、治療中に貧血を起こしてしまったり、体調をさらに崩してしまったりしては元も子もありません。
予約当日に体調が優れなければ、遠慮せずに電話で予約の変更を相談してください。
まとめ
産後はホルモンの変化や睡眠不足、生活の乱れが重なり、歯のトラブルが起きやすい時期です。産後の歯医者は、お母さんの体の回復を考慮して産後1ヶ月健診で「通常の生活に戻っても良い」と診断された後に受診するのが理想的なタイミングです。
ただし、強い痛みや腫れがあれば、産後すぐでも我慢せずに相談してください。
また、授乳中であっても、局所麻酔、レントゲン、痛み止めや抗生物質は安全に使用できます。
赤ちゃんの歯をむし歯から守るためにも、お母さん自身の口腔ケアが大切です。産後1ヶ月健診が終わったら、ぜひ近くの歯科医院に連絡してみてください。
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土曜日も診療しておりますので、ご家族に赤ちゃんを預けられる日に合わせてご予約いただくこともできます。お口のことで気になることがあれば、まずはお気軽にご相談ください。












